【会社設立②】種類ごとのメリット・デメリット

2024年9月27日 2024年12月8日

ishibashi-ofice

今記事は前回の続きです。

会社4種類のメリット・デメリット

前回解説した通り、現在実際に設立されているのは「株式会社」「合同会社」のほぼ二択ですが、「合資会社」「合名会社」についても軽く触れておきます。
※「社員」というワードが度々出てきますが、出資者という意味の法律用語であり、従業員という意味ではありません。

株式会社
合同会社
合資会社
合名会社

株式会社

メリットは社会的信用度の高さと資金調達のしやすさ

現在日本で会社の最も一般的な法人形態は株式会社であり、設立には厳格な法的手続きが必要なため社会的信用が高いです。このことにより、銀行から借入れを受けやすくなる可能性があります。また、株式会社は株式を発行することで資金を集めることができますが、株主は出資した金額以上の負債を負わない（有限責任の）ため出資するハードルが比較的低く、その点でも資金調達がしやすいと言えます。

デメリットは費用と手間

設立には定款認証の手続き費用や、登録免許税、法人実印の登録等の費用がかかります。設立後も法人税や役員変更の登記申請、株主総会や取締役会の開催など、運営にもコストがかかります。

合同会社

メリットは設立費用の安さ、運営の柔軟さ、法律上の制約の少なさ

設立の際の定款認証が不要であり、登録免許税も安いため株式会社に比べ設立費用が安く済みます。企業規模も比較的小さい会社が想定されており、社員全員が経営に参加する形態も取れるため、意思疎通がスムーズです。株主総会や取締役会などの厳格な手続きが不要でることや決算書の公表義務がないことなど法律上の制約の少なさもメリットといえます。また、出資者は有限責任のため合資・合名会社に比べこの点はメリットです。
ちなみに企業規模の小さい会社が想定されていると書きましたが、GoogleやAmazonの日本法人は合同会社です。

デメリットは社会的知名度の低さ

合同会社は比較的新しい会社形態であり、社会的認知度が低いため、株式会社と比べ銀行からの借入れを受けやすいとはいえません。また新株発行や上場も行えないため、資金調達の方法が少ないです。

合資会社

メリットは設立費用の安さと、迅速な意思決定

合同会社同様に定款認証が不要であり、少人数で設立できるため初期費用を抑えることができます。違いは全員が有限責任社員の合同会社と異なり、合資会社は無限責任社員と有限責任社員が混在しています。会社の意思決定は無限責任社員が行うため外部の意見に左右されることがなく迅速な意思決定が可能です。また無限責任社員以外の出資者は有限責任なため、出資を集めやすいといえます。

デメリットはリスクの大きさと信用度の低さ

無限責任社員は会社の債務に対して、個人的な財産で無制限に責任を負います。会社が倒産した場合、個人的な破産につながる大きなリスクを負うことになります。また合資会社は小規模な企業に適していますが、無限責任社員個人の信用に依存しがちであり、社会的な信用は高くありません。そのため資金調達の選択肢も限られます。

合名会社

ほとんど設立の選択肢に入らない形態なので軽めに。

メリットは設立費用の安さ

合同・合資会社同様、設立費用は安いです。

デメリットは全ての出資者が無限責任社

全ての出資者が会社の債務に対し無制限に責任を負わなければなりません。

各会社の比較表

※「社員」というワードが出てきますが、出資者という意味の法律用語であり、従業員という意味ではありません。

	株式会社	合同会社	合資会社	合名会社
出資者の呼び名	株主	社員	社員	社員
出資者の責任範囲	有限責任	有限責任	有限責任と無限責任	無限責任
決算公告	事業年度毎	不要	不要	不要
議決権	株式持分に応じた議決権割合	原則、社員1人1議決権	原則、社員1人1議決権	原則、社員1人1議決権
資金の調達方法	株主からの出資、株式上場、銀行からの借入れ等	社員からの出資	社員からの出資	社員からの出資
設立費用	高い	安い	安い	安い